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日々の考察。

誤った慈善【富の福音】

「慈善で助けるべきは、自分自身で努力している者に限る」

そう言ったのはかの有名な鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーである。

同様な意図として、プルタルコスの「道徳談」にも次のような一節がある。

一人の乞食が、通行人の袖を引いて、喜捨を乞うた。それに対して通行人は答えた。「一番最初にお前に小銭を与えた人がいたため、それがお前を怠惰にして、現在のように卑しく、恥ずべき生活を送らせるようになった。今、私がいくらかの小銭をお前に与えれば、お前はこれより後、今よりももっとみじめな乞食になるだろう」

誰かに何かを与えるということは美化されがちな行為だ。

しかし、その目的や対象によってはかえって不幸な結果をもたらしてしまう可能性があり、慈善を行う人にはその責任があることをゆめゆめ忘れてはならない。

そういう意味では、慈善とは広義での投資と言えるだろう。

投資対象となる企業が顧客のことなど何も考えず、堕落していくだけの存在であるなら、きっとあなたは投資しないだろう。

ふさわしいのは業績を上げ、社会により良い貢献をしていく企業のはずだ。

もちろん慈善活動は金銭の見返りを求めるものではないため、若干の違いはあるが、本質は同じだ。

あなたが人に何かを与える機会があるとき、本当にその行為が相手のためになるのか一度足を止めて、少し考えてみる必要があるかもしれない。

富の福音

富の福音

  • 作者: アンドリューカーネギー,田中孝顕
  • 出版社/メーカー: きこ書房
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