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反脆弱性について

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本
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衝撃を与えると弱くなったり、壊れたりするものが「脆い」と呼ばれるが、その逆として「衝撃や不確実性、変動といった要素が発生したときに強くなる」ものを「反脆い」という。

一般的に、「脆い」の反対は「頑健」や「頑丈」だと思われがちだが、衝撃に対して現状を「維持する」 ものが頑健であるため、異なる。

この反脆いといった性質は世界のいたるところに存在しており、それを内包するシステムは非常に優秀な性能を誇る

例えば、生物の進化は反脆いものだ。 キリンという種が突然変異により生まれ、それまでの種が淘汰されたとしたら、種全体は「それまでの種の絶滅」という衝撃を受けた代わりに、キリンという、よりこれからを生きるに適した種を生み出したと考えることができる。

このような反脆い特性は様々なことに応用することができる。

反脆い状態を作るにあたってまず行うべきは「致命的な損失を避ける」ということだ。

資産の全てを株式や仮想通貨などにしてはいけない。 「最悪の自体」が起きたとしても、再起不能にならない状態を作ることが最優先だ

その上で、確率は低いがもし起きた場合にとてつもないインパクトを起こすもの(所謂ブラックスワン的事象)に対してリスクを取る。 ベンチャー企業の株や仮想通貨を買ってみたり、小説家やミュージシャンを目指したりということもこれに当てはまる。

このような汎用性のある反脆いスタンスを「バーベル戦略」と呼ぶ。 プラス方向とマイナス方向の、「確率はとても低いが発生時のインパクトが非常に大きいものにケアを行う」ということだ。

「反脆い」という一般的には言語化されていない性質を理解することは少々困難かもしれないが、理解し実践することによってこれまでとは違った世界で生きることができるようになる。

この他にも、本書では「オプション性」といったあまり聞き馴染みのない性質が非常に重要である、ということが述べられており、こちらも是非理解し実践していきたい。

著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏のするどい洞察にご興味のある方は一読してみてはいかがだろうか。