すべての仕事を効率化する4つのステップ【すべての仕事はクリエイティブディレクションである】
以前、著者の古川さんの書いた記事を読み、切れ味の鋭い思考を持った方だなぁと思っていたところ、Kindle Unlimitedで発見したので読んでみた。
- 作者: 古川裕也
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2015/09/05
- メディア: 単行本
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すべての仕事はクリエイティブディレクションだ
そう述べている通り、著者の本職であるクリエイティブ・ディレクター(以下CDとする)が日々行っているノウハウは、他の様々な職業でも応用ができるテクニックだという。 そしてCDが行う仕事は本質的に以下の4つだけである。
- ミッションの発見
- コア・アイデアの確定
- ゴールイメージの設定
- アウトプットのクオリティ管理
この4つを身につければ今後どんな仕事、職業であったとしても使うことができるのであれば、それはとてもお得に感じる。
それぞれを具体的に見ていこう。
ミッションの発見
これは簡潔に言うとなんのためにそれをやるのかということだ。
もし広告を作るのであればなぜそれを作る必要があるのかということである。
このことを考えるのは非常に重要であり、なぜならそれに取り組む全ての人が同じビジョンを共有できるか否かがここで決まってしまうからだ。
全員が全国制覇を目指すサッカー部と、5人が全国制覇、3人が学生時代の思い出、3人がダイエットのことを意識しているサッカー部のどちらが結果を出せそうかは想像に難くないだろう。
またミッションの発見は、課題からひとつ次元を上げて行うことが重要で、必ず課題より拡張かつ高度化させなければならないという。
理由としては、本書の一例の中で以下のように述べられている。
言い換えると、私企業単独で抱える課題・ミッションから、世界が抱えるミッションに次元をひとつ上げることによって、キャンペーン自身がより高度な位置に立つことになったのだ。 これによって早速生まれる効果としては、一企業だけのイッシューから出来上がったメッセージより、明らかに多くの人たちが関心を寄せるメッセージに成長したことが挙げられる。
このように、次元を上げたミッションを見つけ、設定することによって、その取り組みに対する関心を集めやすくなる。
そうすることによって、協力してくれる仲間や必要としてくれている顧客へのアプローチが成功しやすくなるのだ。
この考え方は特にスタートアップ企業に対して有効な取り組みであり、シリコンバレーの人たちにはこれをミッション・ドリヴンという言い方で支持されているという。
自分たちの取り組むべきことが世の中に対してのソリューションになっているかどうかが最重要であり、つまりミッションに張っているのだ。
なんにせよまずはミッションを見つけることが大事なのだ。
コアアイデアの確定
ミッションが見つかれば次はコアアイデアを決める。
ミッションを目的地とすると、コアアイデアは最短経路である。
ミッションで定めた問題を解決するには何をするのが一番効果的かを確定させる。
ここで重要になるのは、優れたコアアイデアであればあるほど、具体的な表現アイデアを考えるべき場所を狭く限定することだという。
この事の例として以下のように記されている。
ダビデ像をつくったミケランジェロは教皇に問われた。 「あなたはどうやってこのように優れたダビデ像を生み出したのですか?」 ミケランジェロは答えた。 「とても簡単です。ダビデと関係ないものをすべて捨てたのです」 捨てるのは、CDの重要な仕事のひとつである。
無駄なものを無くすことは意識していても非常に難しいことではあるが、改めて重要なことなのだなと思わされた。
また、コアアイデアの選定時のコツとして、古くからある概念を新しい角度の視点からメッセージすることが有効だとも述べられている。
そうすることで最も速く正確に、なにより多種多様な多くの人々に伝わるのである。
意外と見失いがちかもしれないが、100%新しいものを世界に浸透させるということは非常に困難だ。
このことは別の本で読んだ、車が発明された直後の世界にも描写されており、
その当時はまだ馬車が主流だったので、そこに車が走っていくと馬が驚いて暴走し、歩行者等が怪我をするなどといった事例が多々発生していたときに、
その対応として車のフロント部に馬の首の作り物を取り付けることで対応したのだという。
以上の話からも、何か全く新しいものを導入するときは、既存の何かに少し近い要素を持たせて取り入れる、ことが大切なのだなとわかる。
ゴールイメージの設定
目的地、最短経路ときて、こちらは目的地からの景色になるだろうか。
具体的に言うと、そのアウトプットを他者が受け取った時に何が起こるかを想像することであり、
端的に言うと、それでヒトは動くのかということある。
ミッションを見つけ、それを達成するための効果的な手段を決めた、
ではそれを実際に受け取った誰かは一体何を感じ、どう行動してくれるのだろうか。
そのことに対して思いを巡らせる。
人が何かを受け取るときに共通することは、みんなが自分に関係あると感じることである。
ここまでで挙がってきた要素に対して、さらにそのイメージを練って混ぜ込んでいくこと。
それがゴールイメージの設定で行うべきことだ。
アウトプットのクオリティ管理
さて、ここまで来たら残りのやることはシンプルになってくる。
練ってきたものの点数をただただ極限まで上げるだけだ。
その際に、1つの重要な要素としてびっくりとはたひざ(はたと膝を打つ)があるという。
これはつまり意外性としてやられた感のことである。
確かに自分が何か良いものに触れたときはこの2つの感情が沸き起こることが多いと感じた。
例えば、iPhone。
今までの携帯電話では考えられないような「画面の大きさ」に驚き、そうするとボタンを載せる場所が無くなってしまうが「タッチディスプレイ」を採用することによってそれを不要としたアイデアに対するしてやられた感。
iPhoneにはまさにこの要素が含まれていたと確信できる。
このびっくりとはたひざは、芸術的作品よりなものにありがちではあるが、上記のようにどのようなことにでも応用できるものだと私は認識した。
最後に
今回は本書の特に肝になると感じた部分をまとめた。
言葉の端々に自信に満ちた断言があり、それが個人的には心地良く、とても良い本だと感じた。
本書には他に、実際にそのテクニックの適用の仕方などが記されているので、気になった方は是非実際に読んで確かめてみていただきたい。